著者の平賀壯太氏は、分子生物学者で大学教授でしたが、今は定年退官されています。著者は中学生のとき、オオゴマシジミというシジミチョウの生態を世界で初めて明らかにしたのです。このチョウの幼虫がアリの巣中でアリの幼虫をたべて大きくなることを、アリの人工巣を使って明らかにしたのでした。この本は著者の生まれ故郷の新潟県六日町で行われた講演を本の形にまとめたものです。

この講演会は、主催者側の理科の先生方が生徒の理科離れ自然離れを防ごうと「南魚沼のファーブル　昆虫少年物語」（平賀少年が主役）という本を編集出版してその発刊記念に開催されたのでした。聴衆は主に中学生でしたので、退屈させないように、著者は自作の漫画や絵、写真等のカラースライドをふんだんに使って講演はビジュアルに行われました。たくさんのユーモラスなエピソ−ドを聞くうちに、自然観察の楽しさや自然とのつき合い方がわかってくる「生物界を知るための愉快なガイダンス」になることを目指したものでした。