こうした焼き菓子は、どの店も似たような味と食感で、あまり変わり映えがしないもの。
でも、ここの「フリアン」と「ロランジェ」は、そうした思い込みを見事に覆してくれます。
両者とも、焼き上がった生地のしっとり感が絶品、噛む時の口に感じる甘さがちょうど良い。
時にはパサつきを抑えるため「これでもかっ！」と甘い糖液を感じさせるものがありますが、そんなものとは仕上がりが別格です。
「フリアン」のアーモンド・プードルのしっかりした風味もいいですが、やはり「ロランジェ」の酸味のバランスが格別です。
来客時など、普段とは違ういい紅茶（ダージリン）を淹れたい時、それに合う菓子の選択には困るものですが、これらは日持ちもするので、常備しておくと本当に便利だと思います。
あと、フランス語由来の商品名に、文法通りに定冠詞をつけて、「ロランジェ（l'oranger）にしているのも、パティシエのこだわりでしょうか。
恐らく、若い頃の修行時代か、お金ができて一人武者修行に訪れたフランスの街角の菓子屋で食べた時、向こうのオレンジの使い方に衝撃を受けたことがおありなんでしょう。
これは、当時のご本人の感動まで分けてもらえる逸品です。