笠間焼 宗窯 宗正芳明の黄伊羅保茶碗です。

粘りが強く粒子が細かい笠間粘土が伊羅保の肌合を見事に醸し出しています。
口縁からの釉垂れがひとつの見どころです。

「黄伊羅保」とは、黄釉の掛かったものをいい、やや端反の形状で口造りは切り回し樋口(といくち)になっていて、口縁べべら(小石や砂が弾かれた部分の土がささくれたのをそのまま焼きあげたもの)が見られ、見込みの砂目や竹の節高台が特徴です。

黄伊羅保の特徴はそのままに、作家の個性が融合された笠間ならではの逸品です。

笠間粘土は粘りが強く粒子が細かいため焼き上がりが丈夫なことから、厨房用粗陶器の生産地として知られていた笠間でしたが、
昭和に入り工芸陶器へと転換していくにあたり、伝統を受け継ぎながらも作家の個性をより重じる方向へと作風もまた転換していきました。

伝統にこだわらない自由な作品が作れる笠間の気風を求めて各地から若い陶芸家たちが集まってくるようになって、関東地方では益子と並ぶ大きな窯業産地になっています。