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第二次世界恐慌サバイバル特集

田島隆先生 カバチタレ・特上カバチ!原作者 田島隆先生インタビュー
1968年、広島県呉市生まれ。高校を中退して以降、独立して生計を営み、約30種の職を経験した。20歳のとき法律家を志し、司法書士補助者を経て、91年、海事代理士試験に合格。呉市に田島海事法務事務所を開業、現在まで海事代理士・行政書士として法律実務に携わる。99年5月より「モーニング」にて『カバチタレ!』の連載を開始。2001年8月より「イブニング」にて『極悪がんぼ』の連載を開始。05年7月より「モーニング」にて『特上カバチ!!』の連載を開始し、現在に至る。 広島県在住。




『カバチタレ!』の連載開始から5月で10年になりました。おめでとうございます。

田島先生
ありがとうございます。当の本人はあまり自覚がないのですけど。


10年で2シリーズ合わせて合計37巻。まったく世に事件の種は尽きまじという印象がありますね。

田島先生
世相や社会での出来事、矛盾を意識的に取り上げてきましたから。世の出来事とひと口で言っても、さまざまな形態がありますので扱う事件の素材に困ったことはありません。むしろ事件のテーマの取捨選択に苦労することのほうが多いくらいです。事件のテーマによっては、こちらの意図を読者に伝えるのが難しいものもありますので。

記念すべき第一話。
主人公・田村の行政書士への道はここから始まった。


最近のエピソードとして、ゼロゼロ物件の住人追い出しについて取り上げられています。これは世間で大きな話題になった題材を、意図して取り上げたのでしょうか。

田島先生
僕は、行政書士と海事代理士でもありますので法律相談も受けます。この問題に関しては、10年近く前からポツポツと相談があったのですけれど、昨年の秋、リーマンショックの後くらいでしょうか、僕の地元でも派遣切りが一気に進んだという事情もあって、相談件数がいきなり増えました。そこで改めてゼロゼロ物件業者のひどい実態を作品で取り上げて世に問うのもひとつの選択だと思ったんです。


そんな昔からからあったんですか?

田島先生
正しくは7〜8年くらい前からですかねえ……。法律家仲間などから、最近の悪質な立ち退き手段にはこんなやり方もあるんだよ、とか話に出たりしていました。あの頃は1年に1〜2回そんな話が出るかなというくらいだったのが、昨年の秋以降、たて続けに実際の相談を受けました。


報道が増えて話題になったから取り上げたのですか。

田島先生
そうではありません。むしろ、このテーマでやろうと決め、僕なりにいろいろと取材をしている最中に、同時並行的に報道がさかんになっていったというのが実感です。  僕は行政書士ですが、そもそも相談に来られた方や依頼者の事件内容をそのまま作品に使うことはありません。むしろ、法律業務とは別の観点から取材をして、その中で浮かび上がってきた実態・社会問題に法律知識を絡めてエピソード化しています。


ゼロゼロ物件のエピソードもそうなんですが、さまざまな事件のネタといいますか、そういったものは日々どのようにして集めてらっしゃるんでしょう?

田島先生
基本は僕の実務感覚をベースにして、さまざまなところから素材を引っ張ってストーリーにまとめあげています。知り合いの司法書士や弁護士がこんなこと言ってたなぁとか、若い頃の自分自身の体験に法律の知識を絡めると、おもしろいドラマにできるなあ、とか。そうやって構想した原案に、先ほどのゼロゼロ業者問題のような時事性を付け加えていきます。



DV(ドメスティックバイオレンス)もずいぶん早い時期に題材化していますよね。

田島先生
『カバチタレ!』の初期に描いていますね。古くからある問題ですが、あの当時はまだ顕著な社会問題になっていなかったんですね。ちょうど連載がはじまった直後、急に国会で同じ問題が取り上げられていろいろ動き始めたのを覚えています。誰かが「タイミングいいよね」と言ってくれたのも覚えていますね。でも、あれって、僕自身の子供の頃の体験なんです。10歳くらいの頃、夜、母親が怖い顔して荷物をバッグに詰め、500円札を僕に握らせるんです。そして、無理やり父親のやっている店に、すぐ下の妹と2人、タクシーで行けというんですよ。子供ながらにただならぬ空気を感じて、母親に「なんで行かにゃいけんのん?」って聞いたんですけど、すっごい怖い顔でにらまれて……。仕方なく、タクシーで父親のやってた喫茶店に行ったんですけれど、夜も8時を過ぎてて店が閉まってて。タクシーの運転手さんが「こんな時間にこんな繁華街へ小学生の子供をおいておけんわ」といってくれて乗った所に連れて帰ってくれたんです。そうしたら、ちょうど母親が末の妹を抱えて、荷物持って別のタクシーに乗るところでした……。下の妹と2人、夢中で母親にしがつきました。 こんな自分自身の思い出を掘り返しながら、DVのストーリーを書いたんです。


DV自体は、昔から普遍的にあったような話ですよね。まったく人ごとではありません。

田島先生
担当編集者と話していてよく出てくるスローガンは「『路地裏のリアリティ』を描こう」です。スローガンというか合言葉みたいなものでしょうか。多くの人の身の回りに生じる、日常生活の中で一度や二度は見たり聞いたり、または経験してしまったりするような、そんなテーマに心を配りたいと思っています。 僕達は、マスコミが華々しくスポットをあてるような問題にはあまり関心がないんです。それはいわば本格的な社会問題としてジャーナリストに任せ、僕達はジャーナリズムに取り上げられないくらいにささやかな、地べた目線のリアリティにスポットをあてていきたいと思っています。


早い時期に題材化されたDV。

→インタビューその2(作品の読まれかた)