■骨伝導について
(1)骨伝導には
骨伝導には、聴くための「骨伝導スピーカー」、話すための「骨伝導マイク」の二つがあります。
ただ市場には、骨伝導スピーカーを利用した商品は多く見られますが、骨伝導マイクを利用
した商品は技術的な課題が多いため、あまり出回っていないようです。
・骨伝導スピーカー
一般的に音を理解できるのは、音を空気振動として鼓膜で捉え、内耳の蝸牛にある聴覚
神経を刺激することにより、脳で音として認識で出来るからです。
骨伝導スピーカーは鼓膜を介せず、直接蝸牛に振動を伝えることによって、聴覚神経を
刺激し脳で音として認識させることが出来ます。
・骨伝導マイク
話をすると声帯が振動し、頭蓋骨等の骨も極めて微弱ですが振動します。
しかし、その微弱振動を検出する技術、不要振動(歯がかみ合う時、舌打ちなどによって
発生する振動)を抑圧する技術が必要になると共に、話をしている人の肉声を再現する
ことが難しいため、市場に出回っている商品の数は少ないようです。
ただ、携帯電話等で話をしている人が騒音の環境下に居ても、話し相手にはその騒音が
伝わらず、明瞭に内容を聞き取ることが出来るというメリットがあり、今後実用化が進むと
思われます。
(2)骨伝導製品の実用化について
骨伝導製品(骨伝導スピーカー、骨伝導マイク)は必要とされた軍関係の市場から実用化が
進んだと言われています。
特に米軍関係の研究が進んでいるようで、最近その技術の中で骨伝導マイク関連の技術を
民生用に展開されたと言われている製品が実用化され市販されています。
(3)骨伝導スピーカーとは?
現在市販されている骨伝導製品の大部分を占めている骨伝導スピーカーについて
耳ではなく骨で聴く
骨伝導とは、「耳(鼓膜)から音を聴くのではなく、骨(頭蓋骨)に振動を与えて聴覚神経に
直接「音」を伝える仕組みのことをいいます。
通常耳で音を聞く際は、周囲の音が空気を振動させ、鼓膜に届き、鼓膜が振動することで
その音を信号として脳に伝え、脳は信号を音として判断します。
しかし、骨伝導の場合、鼓膜を介せず直接音の振動を伝えることができるので、鼓膜等の
耳への負担がすくなくなっています。
実はいつも聴こえている骨伝導音
指で耳を塞いで声を出してみると、耳をふさいでいるはずなのに、音が聞こえてきます。
これは自分の声が頭蓋骨を震わせて、その振動が直接伝わっている証拠です。
また、家庭用ビデオなどで録画した映像を見ていると、自分の声が違うように聞こえます。
これは、テープに記録された音が空気を振動させて伝える音だけだからなのです。
しかし、自分が声を出しているときには、この空気を伝わり自分の耳に入る音と頭蓋骨を
振動させて直接伝わる音が同時に聞こえている為に、録音した音とは違うように聴こえる
のです。
音の伝わり方
・気導音 音を空気の振動として鼓膜を通して伝わってくる音
人の話声やテレビなどの音は、周りの空気を振動させ、その振動が耳に集め
られ鼓膜を振動させ、中耳で増幅されます。
その増幅された振動は、内耳の蝸牛のリンパ液中に浮かぶ聴覚神経の先端
部分を揺れ動かされることで、音として認識しているのです。
・骨導音 外耳や中耳を経由することなく、内耳の蝸牛に直接音の振動を伝えます。
■骨伝導の有用性
(1)骨伝導の特徴
長い時間使用しても聴覚に影響を与えない
一般的なヘッドホンは耳に装着し空気伝導で鼓膜に振動を伝えるため、長い時間使用したり
音量を上げて聴くことにより、鼓膜に負担をかけるため聴覚の低下現象の原因ともなります。
しかし、骨伝導ヘッドホンは耳を塞がないため鼓膜に全く刺激を与えずに、驚くほど明瞭に
聞き取ることができます。
耳が開放されている
骨伝導ヘッドホンは耳を塞いだり内部に挿入する必要がないので、音声を聞きながら同時に
外部の音を聞きくことができます。
耳が開放されているため、ウォーキング、自転車など外出先での使用にも安全です。
(2)骨伝導と難聴
難聴の方、聴覚障害の方には骨伝導製品がおすすめです。
今までの補聴器は音を拡大し耳に伝える音声拡聴方式ですが、鼓膜は少しずつ衰えていくこと
があるため、定期的に音量等を調整する必要があります。
しかし、骨伝導は骨の振動による音を伝える方式ですので鼓膜には負担をかけません。
難聴の以下の部類に分けられます。
・伝音性 音が伝わる経路に障害がある場合
・感音性 耳の内部にある蝸牛以降の聴神経系に障害がある場合
・混合性 両者をあわせもつ場合
骨伝導は音を振動として直接伝えるので「感音難聴」にはあまり効果が期待できません。
しかし、二つの性格をもつ「混合系」である「加齢性の難聴」には有効だと考えられています。
骨伝導と難聴レベル
骨伝導でどの程度の音が聞こえない方が聞こえるのかについて
20db〜 40db 小さい声の会話が聞き取れない、遠い救急車のサイレンが聞き取れない
40db〜 70db 普通の会話が聞き取れない、テレビ等の音が普通の音量で聞き取れない
70db〜100db 大声で話しても聞こえにくい、耳元で大声でないと聞き取れない
普通の人が耳が痛くなる様な音でないと聞き取れない
例えば・・・救急車が家の前にいる時のサイレンの音ぐらい
100db〜 ろう
骨伝導は上記の全てのレベルにおいて少なからず、効果のあることが検証されています。
ただし、聴覚神経に障害がある場合は聞こえない場合があります。
このことから骨伝導は軽度難聴から中度難聴に効果が期待できると言われています。
ただし、高度難聴や聴覚神経系が原因の難聴でも聞こえるケースも報告されています。
しかし、聴力・聴覚障害は個人差が大変大きく、こういった事例が報告されていても必ず同じ
症例の方が聞こえるという保証はありません、あくまでも目安として捉える必要があります。
■骨伝導の利用シーン
骨伝導は耳を介さずにコミュニケーションをとることが出来るので、その特性を活かした特長
ある用途がたくさんあります。
騒音の多い環境下で使用する
・車や電車、飛行機、街頭、工場、工事現場等の騒音の多い環境下での骨伝導ヘッドホンの
ご利用が適しています。
骨伝導ヘッドホンは、耳(鼓膜)を使わないため、騒音環境下でも音声が別チャンネルで
聞こえてくるような感覚を受けます。多少の慣れは必要ですが騒音環境下でも円滑な会話が
出来るようになります。
外の音も聴く必要がある環境下で使用する
・コールセンターなどでも、外の音に影響されないのはもちろん、外部の音も聞こえますので
より柔軟な業務体制で対応することが出来ます。
・電話の音や来客、呼び出しを受けるような状況でも、骨伝導ヘッドフォンを使用していれば
耳を塞ぎませんので対応が可能になります。
リハビリテーションのツールとして使用する
・骨伝導で聞く音がほぼ頭骨内中心部でやさしく明瞭に聞こえます。
音楽療法(日本音楽療法学会にて試験中)・難聴者の耳のリハビリテーション
・難聴の方が聞こえやすい
通常の使用のほかに難聴により言語能力が減退している方の言語リハビリテーション
iPod等の携帯プレイヤーやiPhone等の携帯電話などを使用する
・耳を塞がないので鼓膜への負担も少なく、長時間の音楽鑑賞などにもお勧めです。
又、耳を塞がないので音楽を聴きながら何か作業をする際も、周りの音が聞こえて
安全です。
逆に、耳栓をすることにより周囲の音を遮断し、純粋に音楽を長時間楽しむことも出来ます。
・携帯電話用の変換アダプタを使い骨伝導ヘッドホンを携帯電話で使用することも可能です。
長時間ヘッドホンなどを使用する
・テレマーケター、テレホンアポインターなど長時間、一般のヘッドホンを使用する方は、
耳の負担が大変高いため、鼓膜への負担がない骨伝導製品がおすすめです。
■骨伝導の安全性
骨伝導に危険はないの?
「骨伝導は頭がい骨を振動させるので、脳に悪影響がある」という噂も時折耳にしますが、
骨伝導が人体に害を与えることは全くありません。
骨伝導という「骨を震わせる音(骨導音といいます)」 は特別なものではなく、普段の生活の
中で常に接している人間がもともと持っているごく自然な音だからです。
実は、頭がい骨は自分が声を発するたびに震えているのです。
もちろん、その震えは蝸牛の中にある聴覚神経を刺激し、音として脳へと伝わっています。
私たちは、耳から入ってくる音と、骨伝導の音の両方をいつも聴いているのです。
振動と言う観点で見ると、骨伝導製品の発する振動より、 自分で大声を出した時の振動の
方が大きいとも言われています。
また、電磁波についても問題はありません。
骨伝導製品からも電磁波が発生することがありますが、ほかの電気製品と同じようにごく微弱
なもので、自然界に存在する電磁波と同レベルの強さですので、安心してご使用ください。