| 1884年、パリの万国博覧会に時計を出品したアントワーヌ・ド・パテックは、同じ博覧会で見事入賞したフランス人時計師ジャン・アドリアン・フィリップと出会った。現在、時計に一般的に用いられているリュウズ巻きを初めて実用的な形で完成させたのが、ジャン・アドリアン・フィリップである。この改新的な機構に注目したアントワーヌはアドリアンをパートナーとして招き入れ、1851年、社名を現在の「パテック
フィリップ」と改め、本格的な時計製作に乗り出した。 この年、ロンドンで行われた万国博覧会ではパテック フィリップの懐中時計が金賞を受賞し、これを気に入ったヴィクトリア女王からさっそく注文を受けるという名誉を手にする。パテック
フィリップの評判はさらに高まり、各国の王族貴族をはじめワグナー、チャイコフスキーなどの改新的な作曲家、作家ブロンテやトルストイ、ノーベル賞科学者マリー・キュリーやアインシュタイン、そしてアニメーションの天才ウォルト・ディズニーなど、時代の先端をいく著名人たちを次々に顧客にしていった。
その時代にもっとも秀でた人物に愛されたパテック フィリップの名品。その歴史が一流であることを物語っている。今世紀のパテック フィリップは、1933年からスターン一家が経営権を引き継ぎ現在に至っている。創業160年もの伝統を誇る、パテック フィリップ社の社是は一貫している。“世界最高の価値ある時計を創る”。ジュネーブ最後の完全なマニファクチュールであるパテック フィリップ。同社は通常の2〜3倍の手間をかけ、年間製造個数を限定し、世界最高のタイムピースを限られた人々に供給するということを理念としてあげている。また、数百年続いてきた時計文化において、つねに限界に挑戦する姿勢はトップに君臨するブランドの使命である。 パテック フィリップはこれまで他の時計メーカーが絶対に立ち入ることのできない、聖域ともいえる驚愕の超複雑時計を数多く発表してきた。2003年、バーゼルフェアで発表された「10デイズ トゥールビヨン」は、10日間ものパワーリザーブにトゥールビヨンを組み込んだコンプリケーション。ケースの裏側からしかその美しい姿を見ることができないという構造は、紫外線による潤滑油の劣化を防ぐという正統な時計哲学から生まれたという。確かな時計美学を継承し続けるからこそ、パテック フィリップはジュネーブ時計製作伝統を受け継ぐ、最後のメーカーとして君臨し続ける。 |
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